ボール職人

練習の時、ちまちまボール膨らます仕事したりする。
が、「今日のボールなんか小さい」と確実に囁かれる。
「新しい空気を入れている筈なのに、空気が死んで球が重い」
「ニューボールの筈なのに、年寄りの肌の質感がある」
…私の膨らましたボールは、評判が悪い。

「お父さんの後のお風呂は嫌」と愛する娘の声を柱の影で聴く気持ちは
こんな感じなのだろうか。

「そんなんやったら!誰かすればいい!」と思っていたら
ボールへの並々ならぬ愛情を持つメンバーが育った。

吉野谷のエロ猿。

練習来てもまずボールに駆け寄りセッセと空気を入れる。
帰りは一つづつ畳んで片付ける。
確かに彼のボールはクレームも無いし、不思議な事に寿命も長い。
若い娘の肌の弾力が彼の膨らましたボールにはある。

昨日ひろが「秋大会のボールは誰が入れた?凄く良かった」と試合もしてない男が
言っていた。

そう秋大会のボールは、吉野谷のエロ猿がソロで入れた。
そんなに違うもんなのか⁉︎

王者大会に彼も来ます。
こちらから言うまでもなく、彼はボールに話しかけ膨らましていくだろう。
部屋のスミで新品のボールを無言で膨らます様を一昨日みたが、
小人の靴屋もこんな感じだったんだろうな。と思った。

お楽しみに。